こんにちは。naoです。
還暦を過ぎると、加齢や目の疾患による視力低下が進み、特に夜間走行は厳しさが増してきますね。
Norton Commando 961(愛称:ノータン)は、元々ハロゲンヘッドライトを装着しています。レトロ感を損なわないためにはそのまま使いたい気持ちもありますが、夜間やトンネル走行を考えると、より明るく省電力なLEDヘッドライトに交換したいところです。消費電力が少ない分、バッテリーへの負担軽減も期待できます。
そこで、汎用のLEDヘッドライトへ交換しました。しかし、しばらく走行後に「Hi・Loが同時点灯している」ことに気づいたのです。前回のブログ「🏍️還暦ライダーによる Norton Commando 961 Cafe Racer 故障と修理記録」でも触れましたが、この現象の原因はLEDバルブにあると考えられます。
今回はその原因を実験回路で再現し、現象を検証しましたので、その記録を紹介します。
目次
続きを読む: バイク用LEDヘッドライトに交換!ハロゲンから変えて起きた謎の同時点灯を再現【前編】実験の目的と検証テーマ
本来であれば、Norton Commando(愛称:ノータン)を使って直接検証試験を行うのが最も確実です。しかし、現在は部品供給がストップしており、万一ショートなどでECUを破損してしまえば、修理は極めて困難で元も子もないですね。ノータンに過度な負担をかけるわけにはいきません。
そこで今回は 疑似回路構成による実験 を選びました。前回のブログで紹介した「ヘッドライト用リレー」と「問題のLEDヘッドライト」を組み合わせ、ガレージのフロア内でテスト環境を再現します。
今回の検証テーマは、
- LEDヘッドライトのHi/Lo同時点灯現象を再現すること
- その原因を探り、効果的な対策方法を検証すること
この2点を柱に進めていきます。
実験回路と使用機材
LEDバルブ
- 色温度:6000K(ホワイト)
- 光束:1800lm
- 12V車検対応、日本製、ファンレス
- 耐震20G仕様、ポン付け可能な汎用LEDバルブ
(型番:SPHERELIGHT SRAMH4060-02)
今回の試験で使用したLEDバルブ(SPHERELIGHT SRAMH4060-02)はAmazonなどで確認できます。
リレー
・Bosch Automotive 332201107(純正代替品)
参考データ:OMRON G8HN データシート (PDF直リンク)(純正代替品)
また、Honda 純正品 38502-MCS-G01 とも互換性があるようです。
ただし、下記の写真のように実測コイル抵抗値と上記データシートから推測しますと、純正品と BOSCH製代替品は標準タイプ、HONDA製リレーは高容量タイプ(接点容量の違い)と推測されます。
ご参考までに。

コイル抵抗78.8Ω標準タイプ

コイル抵抗125.8Ω高容量タイプ
直流電源装置
バッテリー代わりに、ガレージでカーステレオ用に設置してある 12V直流電源装置 を使用しました。
テスター類
- デジタルテスター(サンワ製LD-520H・30年前の品)
主に電源電圧や電流値測定に使用。 - アナログテスター(前回のブログで紹介)
Hi側の端子電圧をリアルタイムで確認するために使用。
2台体制にすることで、測定の見落としを減らしました。
インジケーター球
- LEDウェッジ球
- メータ用小型電球
を比較しながら使用しました。
対策用部品
- ショットキーバリアダイオード(20A・45V)
- 12V用 50W 6Ω アルミシェル抵抗(ウインカー用)
これらを組み合わせて同時点灯現象の抑制を試みます。
その他
- 溶接面(遮光面)
LEDの光が強烈で直視できなかったため使用。偶然にも前回紹介した溶接機の付属品が役立ちました。 - 牛乳瓶
LEDバルブ固定用 - 端子類・ワニ口クリップ・コード類
回路の組み換え・試験に必須の小物です。


再現実験の手順
① Lo点灯状態の確認
・まずLo側のみを点灯させる。
・このときHi側の端子は電源を接続せず「解放状態」にする。
② Lo側の電流測定
・直列にテスターを入れてLoバルブに流れる電流値を測定する。
・点灯直後と、数分経過後の変化(若しくは同時点灯時の電流降下)を記録する。
③ Hi端子の電圧測定
・Hi端子とアース間にテスターを接続して電圧を測定する。
・「Loのみ点灯状態」でHi側にどの程度の電圧が誘導されているかを確認する。
④ インジケータと同時点灯の確認
・Hiインジケータランプを接続して点灯有無を確認。
・あわせて、Hi・Loの同時点灯が発生するかどうかを観察する。
・LED光量の違いは直視困難なため、溶接面(遮光フィルタ)を使って観察。
⑤ インジケータ点灯時の電流・電圧測定
・インジケータが点灯した場合、そのときの
- Lo側電流値
- Hi端子電圧値
を測定し、インジケータ有無による電圧降下の影響を比較する。
⑥ 電源電圧条件を変えて再試験
・直流電源装置の出力電圧を以下の2パターンで設定して同じ手順を繰り返す:
- 13.8V(走行中の発電機稼働時を想定)
- 12.7V(満充電直後・エンジン停止時を想定)
・電圧条件による挙動の違いを観察する。
実験結果の記録
実験中の記録写真

(LED球Low点灯時。初期電流1.34A、Hi側端子電圧0V)

結果まとめ表
| 電源電圧 | インジケータ有無 | 経過時間 | Lo側電流値 | Hi端子電圧 | インジケータ点灯 | 同時点灯 |
| 12.7V | 無し | 初期 | 1.33A | 0V | - | 無し |
| 12.7V | 無し | 10分後 | 0.95A | 9V | - | 有り |
| 12.7V | 有り (LEDウエッジ球) | 初期 | 1.34A | 0V | 不点 | 無し |
| 12.7V | 有り (LEDウエッジ球) | 10分後 | 1.05A | 4V | 点灯 | 無し |
| 13.8V | 無し | 初期 | 1.27A | 0V | - | 無し |
| 13.8V | 無し | 10分後 | 1.05A | 8V | - | 有り |
| 13.8V | 有り (LEDウエッジ球) | 初期 | 1.30A | 0V | 不点 | 無し |
| 13.8V | 有り (LEDウエッジ球) | 10分後 | 1.12A | 3V | 点灯 | 無し |
※各初期値はLED球が完全な冷却状態からのスタートでないため、参考値になります。
上記表の結果になりました。実走行時を想定した電圧13.8Vの方がHi端子電圧としては、下がる傾向が確認できました。
なお、ノータンで発生したHiインジケータ点灯と同時点灯の症状は再現できませんでした。しかしながら、Hi端子を浮かした状態で同時点灯した事は、間違えありません。
ここまでの考察としましては、今回の疑似回路では、インジケータ有無で挙動が大きく変わった事です。
インジケータ(LEDウェッジ)が入ると、消灯側端子の浮電位がブリーダ(逃がし)によって下がり、LEDドライバの起動閾値を割るため同時点灯が止まるという傾向が確認できました。
またメータ用小型電球の場合は、不点で同時点灯も止まるという状態でこれも、電球がブリーダの役目を果たした状態で正常状態になります。
ただ、インジケータが無い状態では消灯側端子が最大9Vまで持ち上がり、同時点灯に至る事が確認できました。
前編まとめ
実験の結果、電源電圧を13.8Vに上げるとHi端子電圧が下がるなど、実走行に近い条件での特徴も確認できました。
加えて、インジケータ球の有無が「浮電位の発生」に直結し、同時点灯を引き起こすかどうかの分岐点となることも分かりました。
以上から、「LEDバルブは純正回路との相性次第で想定外の動作をする」という点が今回の最大の発見です。
LEDバルブメーカが回路設計をするにあたって、すべてのバイクメーカを調査する訳ではないので、全てに対応できる訳ではないと感じます。少なくともここまでで確認できた事はハロゲンバルブ設計のバイクにLEDバルブを装着する事は、リスクが生じる事だと思います。
次回【後編】では、ショットキーダイオードや抵抗を用いた対策検討を進め、その有効性をまとめていきます。
※本記事はガレ長による個人的な整備・検証記録です。安全面などは必ず自己責任でお願いします。